tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費性向の回復:政府に期待したい政策

2017年02月01日 21時18分15秒 | 経済
消費性向の回復:政府に期待したい政策
 前回は丁度、労使の春闘への基本政策が出ていたので、その中で、将来不安にかかわる高齢化・人口減少の問題についての労使の見解を見ました。
 注目した理由は、労使が共通して、高齢化、人口減少を悲観せずに、それを克服して将来の明るい展望を開く新しい発想を提起していることです。

 政府に要請されるのは、こうした労使の共通の思いを確り汲み上げて、そのための環境整備を実行することでしょう。経済活動のプレイヤーは民間労使であり、政府はそのための環境整備役なのです。
 その政府が、プレイヤーに加わって、賃上げをしろと毎年言っても、結果は出ません。自分のやるべきことをやっていないからでしょう。

 ではやるべきことは何かというのが今回の課題です。目的は「将来不安の解消」です。労使はすでに動き出そうとしています。
 
 政府は、企業の先行き不透明感の解消のために何ができるか、年金制度への不安感解消のために何が出来るか、現実の生活への不安感解消のために何ができるか、将来不安解消のために国民が励む「 貯蓄への不安感解消」のために何ができるか、などと言うのが、これまでの「なぜ」から出てきた問題点でしょう。

 企業の先行き不透明感の最大の原因は「 為替レートの変動」でしょう。今日の報道でも、トランプ新政権は、日銀の異次元金融緩和の批判を始めそうだという事で、1円ほどの円高に動いています。
 正直言って、今、この問題には、対応不可能です。嵐が過ぎて、はじめてまともな議論が可能になるのでしょう。(タイミングが悪すぎました)

 現実の国民生活上の多くの不安は、経済成長しない、賃金が上がらないといったことにあるように思われがちですが、そのじつ「乏しきを憂えず、等しからざるを憂う」といった側面の方がずっと大きいと思われます。
 日本は世界で見ても豊かな国です。国民所得の配分の仕方によって、豊かさの均霑は可能です。

 このブログでは、資本主義が生き延び(共産主義が破綻し)たのは、経営者革命(経営者の登場、資本家の退場)と社会保障・福祉国家の登場によると書いてきました。
 政府が、適切な国民所得の再分配政策を導入し、格差を縮小したことで、資本主義は共産主義に勝ち、サバイバルを果たしたのです。
 
 今、日本は、かつてに比べて、格差社会化が進んでいます。1つだけ端的な例を言えば、所得税の累進課税の状況は、かつての最高税率80%超から50%に下げられています。
 格差問題の原因の1つ、非正規従業員の問題については、企業の問題の方に書きました。

 公的年金問題については、制度の問題は専門家が納付者の縮小をはじめ多くの問題を指摘しています。ここでは財政問題として、安倍総理が、消費増税の延期や、GPIFの損失などのたびに、「年金の支給には影響はありません」(プライマリーバランスの2020年達成についても同じですね)といった全く不合理な説明を平気で繰り返すといったところに、国民の不信感、不安感の大きな原因のあることも指摘しておきましょう。

 社会保障の税の一体改革の中でも、消費税の増収(延期による減収)が、社会保障の掛金や給付に具体的にこれだけ役立ちました(マイナスでした)といった、我々にもわかる説明はありまあせん。正しい情報を国民とシェアする姿勢が足りないようです

  ゼロ金利 マイナス金利については、為替レートとの関連で、問題は沢山ありますが、金融を緩めれば必ず経済にプラス効果があるとは限らないことが分かってきました。2%インフレにこだわる理由もはっきりしませんが、「流動性の罠や」「ゼロ金利の罠」の存在の含め、出来るだけ早期に金融の正常化の目指す方向への切り替えが必要でしょう。

 トランプ政権の発足で、政府の役割は一層難しいものになりました。しかし、この点だけははっきりしています。
日本は豊かな国なのです。500兆円超のGDP ・ GNIを、国の手でいかに適切に再分配するかを、 国民の意向を適切に聞きながら具体的な政策に繋げていけば、国民の理解と信頼が生まれ、自ずから突破口は開けるのでしょう。

 今の状況では、国民の将来不安は増すばかりで、消費不振は続くでしょう。まず、国民との正確な正しい情報の共有、独りよがりでない国民との真摯な対話が基本になるようです。

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